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2009 08,27 17:30 |
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コンファイン、コンファイン、コンファイン。 だんだん楽しくなって、通りすがった人にも声をかけたけど みんなみんな、快く遊んでくれた。 ――前は、こんなことなかったのに。 ざわざわ、胸の奥が疼く。 こんなこと思っちゃいけない。 ぼくはぬいぐるみ。ぬいぐるみなのだから。 「あれ?あの時のぬいぐるみ…さん?じゃないですかー」 びくっ、と毛が逆立つ。 ええと、黄色い髪の…… 「洗浄あn」 「なんですかそのウォシュレット!下品ですよ!!酷いですよ!!」 つっこみの激しい、せんじょうアナ。うん、覚えてる。 覚えてるけど、あれ? 「ぼくは、ぬいぐるみだけど、ちゃんと名前があります、よ?」 「え!?」 あれ人の事いえないじゃないですかとか呟いて せんじょうアナはノートを捲る。めくる。めくる。 けれど、 「……あれ?名前…ありませんね。 よかったら教えてください、書き足しますよー」 「わぁい!ぼくの名前は――」 ぼくのなまえは? 女の子の傷一つ無い手が、僕を叩く。 いたくは、ない。 だって、僕はぬいぐるみだから。 「お母さんの馬鹿!今日は一緒に居てくれるって言ったのに!」 でも、お母さんは忙しいんだよ。 だって、空が真っ暗で…作物が育たないから…… 別のお仕事も、しなきゃいけなくなったんだ。 お針子のお仕事は、空がどうあったって変わらない。 「お兄ちゃんまで…なんで、一緒に居てくれないの!?」 お兄さんだって、お仕事をしなきゃいけないんだよ。 それでも、君が眠る前には帰ってきてくれるじゃないか。 「お前は、いいわよね。」 そうかな? ぼくは、そうやって愛される君が羨ましいよ。 だって、ぼくは はっととして、お腹をみる。 大丈夫、痛くない、傷も無い。 ちゃんとした、ぬいぐるみのお腹だ。 「どうしたんですか?」 覗き込むせんじょうアナに、首をかしげる。 …どうしたんだろう? 今、なにか思い出したような気がする……? 何を思い出したんだろう? 何か、きっと、大事な―― 「なんでもありませんに。」 にゅっと、誰も居なかった場所から白い腕が伸びてくる。 あれ?と思い暇もなく抱きしめられる、その腕は 「戦場アナがこんなところに居るなんて、珍しいですにぃ。」 「戦場アナじゃありま……いや違います正解ですそれです!」 いちごちゃんだ。 また人を驚かすようなことするなんて、駄目だよ。 「わかってますに、船上アナ え-と、んで、なに?」 「船上アナさんと、あそんでたんだよー」 そううかそうか、と撫でられる。 違いますよ!とアナさんは言うけど、違ったのかな? 「で、なんぞー?」 「あ、はい…今、ぬいぐるみさんのお名前を聞いていたんですけど」 あ、そうだ。名前。 ぼくの名前は、ええと… 「タマですに」 「違うよ、タマは猫さんだよ」 「じゃあ、ポチですにょ」 「ポチは犬さんだよ」 「いっそ、クロで」 「黒くないよ」 「あ、なんとなく理解しました。名前が無いんですね……」 あるよ、と言おうとして口を塞がれる。 言わなくていいよ、といちごちゃんが呟く。 ぼくは、ぬいぐるみ。 名前は何故か、言わせてもらえない。 PR |
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