2025 02,02 12:16 |
|
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 |
|
2009 10,06 21:36 |
|
朝のない世界は、すごく、怖いと思う。
でも、朝の無い世界だから、救われたんだって、思う。 覚えていない筈なのに ぼくはぬいぐるみの筈なのに 大きくて、ごつごつした手だけは忘れない。 女の子じゃない。男の子でもない。 ぎこちない手で、よくやったな、と褒めてくれた手。 真っ暗で怖くていつも怯えていたけれど あの手があれば、なんでも出来るような、気がしていた。 ぼくは、本当にぬいぐるみ? しかたがない しかたがない しかたがない 何度も呟いて、一生懸命に、拭う。 僕の耳は、もう聞こえない。 もしも僕が犬なら、噛み付いて逃げ出せたかもしれない もしも僕は猫なら、引っ掻いて逃げ出せたかもしれない でも、僕は、ぬいぐるみだから、出来ない。 「――!―!」 あの子のお母さんは、死んでしまった。 あの子を維持するために死んだんだと思うけれど なんで、あの子は、維持されなきゃいけないんだろう。 「―!………!!」 あの子のお父さんは、大分前に死んでいたらしい。 よくわからないけれど僕が拾われる前だった、らしい。 なんで、僕は拾われたんだろう? 「…………」 あの子のお兄さんの行動は賢明な判断だったと思う だって、あの子は、もう 「…………」 酷い匂いだった。 酷い姿だった。 酷い、生活だった。 耳が聞こえなくて、よかった。 白くて大きい、肉 それを解体する、男の人。 覚えておこう、この光景を 覚えておこう、愛されるのは幸せじゃないと 覚えておこう、 ヒトも所詮は、肉なんだと。 「ただいまー。お留守番ちゃんとして…」 「いちごちゃん、」 「に?」 「おやつは、ミートパイが食べたいなっ」 「挨拶よりそれですに? まぁ作るけどさぁ……」 その肉は、僕を役立たずと言って その肉は、僕にとっても大切な人を殺して その肉は、お兄さんに殺された。 これが、最初の記憶。 PR |
|
コメント |
コメント投稿 |
|
trackback |
トラックバックURL |
忍者ブログ [PR] |